J1 第8節 川崎vs京都 4-1 (等々力)

川崎としては久々に会心の勝利だった。


サッカーは相手があっての相対的なスポーツだから、川崎が良かったとも、京都が自滅したとも言える。しかし、これまで内容的にはイマイチながらも個の能力で勝ち点を拾ってきた試合が続いてきた川崎にとって、ようやく霞が取れたような試合だった。


関塚監督との面談を行い、テセ、森、伊藤がスタメンから外れた。これまでの疲労の蓄積を考慮しての判断だと思う。矢島、井川、菊池が代わりに入った。さすがに井川は危なげない出来だったが、矢島と菊池は対照的な出来だった。

矢島はがっしりした体格ながらも献身的なチェイス、フリーランと、まさしく巻のようにチーム全体を鼓舞できる前線のターゲットマンなのだが、巻との違いは足元の柔らかさ。この日も何度かライナー性のボールを難なくトラップしているのを見て、巻というより、西澤の器用さに巻の直線的な動きと献身が加わった選手、と見るべきなのかもしれない。
相手の最終ラインにどっしり構えて横の動きでボールをもらうテセともタイプが違うし、もちろんサイドから中央に切れ込むジュニや黒津とも違う。
川崎は良い選手を獲った。当分はテセと併用しながら使うと思うけれど、しばらくはFW陣の組み合わせを考えるだけでも楽しい。

一方、菊池は終始、自信がないプレーを繰り返す。最終ラインでのボール回しやロングキックを蹴る際も、まずは寺田に横パスをして、寺田が難しそうだったらそこで縦に入れるのだけれど、そのボールの精度が悪い。自信の無さなのか、それとも能力なのかはわからないけれど、本人の年齢の考えるとそろそろ上昇のキッカケをつかまないといけないだろう。


それにしても、対戦相手の京都はいったいどうしたことか。個々を見るとJ1でも十分に闘えるメンバーだ。川崎がメンバーのコンビネーションや、矢島―ジュニーニョの個人の相互補完がうまくかみ合っているのに対して、京都はメンバーの補完ができていないのだと思う。


京都の中心はやはり柳沢なのだ。ディエゴという声もあるだろうが、ディエゴは中盤の組み立てやプレーメイカーではなく、横浜FMの山瀬と同じく点を取りにいくアタッカーとして才能を発揮する。

ディエゴは点は取れるが、チーム全体を動かすようなプレーは期待できない。柏の時はフランサという稀代のファンタジスタがいたし、東京Vはフッキというディエゴを上回る怪物アタッカーがいたので、両輪走行としてうまくいった。しかしフッキがいなくなって、ディエゴだけになった東京Vはどうだったかというと、ご覧のとおり。ディエゴの一発だけに依存したチームになってJ2に降格した。


たくさんボールに触れることで直接的にゲームメイクするということではないが、チーム全体を動かし、選手個人に更なる質の高いプレーを要求するという点では、柳沢の能力は随一だ。豊田のフィジカルと高さ、林のスピード、渡辺大剛のキック力など京都の類まれなる能力を試合経験とともに伸ばせていきたい意図はわかる。しかし、今の京都は個々の歯車が大きいだけで、歯車を回転させて噛み合わせる車軸の役割が誰もいない。

今のままでは京都は厳しい。