J1第16節 川崎F vs 鹿島 (等々力)

リーグ首位の鹿島と2位川崎の直接対決。勝ち点8差の両チームにとって、ここで川崎が抑え切れないと鹿島のさらなるリーグ独走を許してしまう。
等々力は久々の2万人越え。シーズンチケットホルダーの来場率が高くないと、等々力で2万人は超えない。


両チームともさすがだなと思わせたのは、FWのフォアチェックと中盤の囲い込みの速さ。パスのスピードや精度もそうだが、トラップなど少しでもプレーがぶれると、ボールを奪取される。中盤の中央は潰し合いの様相。そうなるとサイドとロングボールを上手く使った方が試合の主導権を握るわけだが、川崎の先制点は両サイドへのロングボールを活かした得点だった。

中盤での激しい潰しに人数を裂く鹿島に対して、川崎はサイドのスペースに対角線にロングパスを入れるようになってから、試合のリズムは川崎へと傾く。前半30分あたりからサイドに起点を移した川崎が幾つかの決定機を迎える。
そして33分、鹿島ゴール前の混戦で内田篤人がハンドを犯したとみなされ、一発退場。与えられたPKをジュニーニョが決めて川崎が先制。


ここから後半序盤あたりまでが川崎が追加点を決めて試合を制する絶好の機会だった。テセのヘッド、憲剛のミドルなどゴールを驚かしたが、追加点は決められず。川崎の勢いを鹿島がようやくなだめたところで、鹿島に絶好の機会が訪れる。

64分、最終ラインでのパス交換から寺田が出した不用意なパスをマルキーニョスがカット。鹿島FWと川崎DFが同数の局面を、マルキーニョスと興梠のコンビネーションで交わし、最後は興梠が決めた。


これで、川崎は勢いが削がれた。そして鹿島はゲームを一気に自分の手元に手繰り寄せた。鹿島にとっては一人少ない展開での引き分けは十分すぎる結果。一方で川崎は勝ちを逃した。首位鹿島に対して勝ち点を縮められるチャンスを自ら逃した試合となった。


鹿島にとって川崎のミスにより得た同点弾だが、決して楽に得点できる局面ではなかった。川崎はジュニーニョに象徴されるように他のチームよりも数多く決定機を作って得点を挙げるチームであるだけに、余計に鹿島の一撃必殺の得点力は憧れる。これがタイトルホルダーとそうでないチームの差なのかもしれない。