J1第19節 FC東京 vs 広島 (味スタ) 0-0

というわけで味スタへ行ってきた。結果的にはスコアレスドローということで、両チームのサポーターにはやや不満かもしれないけれど、第三者から見ればお互いの狙いがしっかりと出た良い試合だった。


東京はようやくチームとしてはっきりと上位を狙える陣容になった。中盤の底にに番犬役として有能なルーキーの米本が入り、配給係の梶山との役割を分けた。そしてブルーノ・クアドロスがようやくコンディションを取り戻した。これまでCBで苦しんでいたが、これで今野をCBを下げて組ませることで、相対的に弱かった中央の守備はだいぶ強くなった。


FWもカボレがだいぶフィットしてきた。チームメイトもカボレの特徴をだいぶ理解した感がある。カボレは足元が上手いというより、身体が柔らかい。タコみたいに周囲の選手とは明らかに異なるフィジカルでボールを収めて前線で攻撃の起点が作ることができる。

また、この日はイマイチだったが、平山もずいぶん存在感を増してきた。
全体的にテンポが速い東京のサッカーにおいて、平山のプレーテンポは明らかに異質。一人だけ拍子の異なるリズムでプレーをするので、ココ数試合を見ても相手のDFは平山に置いていかれる事が多い。
あとはゴール前の混戦がもっと上手くなれば、と思う。ボールを収めてからのクイックネスがないので、せっかくエリア内でボールを持っても、シュートまでに相手の選手に追いつかれていることが多い。


そして石川直宏。この日もハンパなかった。明らかにプレーレベルがピッチの22人の中で一人だけ違う。ボールを持った瞬間に何かが起こるぞ、という雰囲気が今の石川にはある。後半に相手選手間の狭いスペースを一人ワンツーみたいな形で綺麗に抜き去ったのは圧巻だった。


広島は実はを生観戦で見たのは久しぶり。面白いと聞いていたけれど、確かに異質。すでにいろいろと語られているので、詳しくは書かないけれど、ストヤノフが最終ラインでボールを持った瞬間に両SBを含めて5名が前線に上がり、4-1-5みたいな形になって、そこからストヤノフがフリーの選手に中長距離のパスを渡して、広島の攻撃が展開されるパターンが多いのだけれど、今の広島の攻撃陣のスピードと才能を生かすにはふさわしいサッカーだ。
攻撃の時は自分の対面の選手のマークを振り切って躊躇せずに上がるのは、さすがオシムスクールの門下生。
ただし、相手の中盤より前のエリアでパスミスをしたときは一気にカウンターを喰らう恐れがあるので、すごくリスクもある。そういう意味では、広島ももうちょっと中盤の中央を整備する必要があるかもしれない。具体的に言うと、判断力とキックに優れた選手がほしい。ストヤノフの負担を軽減したい。


この日、東京はリトリート気味に守備を行うことで、広島の攻撃を前を向いた形でカットし、そこから得意のハーフカウンターを狙うことで機会を狙った。ボールを持つ時間は広島が長く、東京がカットできるチャンスを虎視眈々と狙うというどっちがホームだという展開。だが、冒頭にも書いたようにこれがお互いの狙いがはっきりと出たサッカーとなり、お互いが噛み合った好ゲームとなった。

スコアレスドローとなりニュース素材としては弱いのだろうが、スタジアムの客席から東京と広島の各選手の動きとか駆け引きを見ているだけでも僕には十分に面白かった。