五輪の野球とソフトボールの話。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/headlines/20090813-00000021-kyodo_sp-spo.html


僕個人はWBCがある今、野球を五輪競技にすることに特に必要性を感じていなくて、上記の記事にもあるようなMLBの五輪に対する冷たい対応と昨今のドーピング問題を見る限りは、難しいだろうなとは思う。


一方でかわいそうだなと思うのが、野球とセットで割を食っている女子ソフトボール。マーケットとしてスーパーメジャーな野球と比べて、ソフトボールは確かにルールや見た目が野球にそっくりだけど、スポーツとしてはマイナーで日本やアメリカでも一部の選手を除いて、大部分が手弁当でプレーしている選手ばかりだろう。

ソフトボールにおいて、五輪の重要性は野球と比べてはるかに重い。野球において五輪は普及戦略の一つに過ぎない。五輪がなくてもMLBが参加するもう一つの世界一を決めるWBCがある。そしてMLBNPBなどの整備されたプロリーグもある。もちろん、欧州など五輪の野球を重要視する国はまだある。しかし、野球界全体で捉えれば、野球の五輪種目復帰は今後の普及戦略を見据えた一手に過ぎない。


しかし、ソフトボールには五輪から外れてしまうしまうことは大きな損失だ。
先日、ケーブルテレビでアメリカで開催されたソフトボールのワールドカップを見ていた。日本とアメリカ、オーストラリアの上位国にはライバル意識は当然あるのだけれど、それ以前に国境を超えた信頼関係というか仲間意識というか、陳腐な言葉で申し訳ないけれどソフトボール愛というものを感じた。
北京五輪の決勝でも日本とアメリカの選手が合同で写真を収めて、ソフトボールの五輪競技早期復帰のメッセージを全世界に送った。そこからは現状を何とか打破したいけどできない歯がゆさと、今後のソフトボール界に対する強い危機感をこの写真と選手の表情から感じ取った。


あくまで自分は部外者なのでマスコミの情報から判断するしかないのだが、この野球の五輪競技復帰に関する問題はあくまでも野球側の論理だけで語られている。そこには当然国際野球連盟MLBNPBなどの野球側とIOCの様々なパワーゲームによって行方が決められており、ソフトボール側の発言権は限りなく小さいように思われる。
まるでソフトボールの今後は野球側のハンドリングに委ねられてしまう一連托生の関係なのかもしれない。


欧州やオーストラリアの人間と話すとわかるのだが、彼らにとって野球は普段彼らが身近に感じるスポーツから外れた範疇にあるスポーツだ。アメフトもそうなのだが、一応アメリカや日本ではメジャーなことは聞いてるけど、自分たちの中でのスポーツではない、という感じ。
日本人にとってクリケットなどはそうかもしれない。英国圏では凄いらしいが、日本人は誰もやらないし見たことも無いスポーツだ。


欧州の上流階級の色が濃いとされるIOCにおいて、彼らの外の世界で行われている野球やソフトボールに消極的なのは当然かもしれない。だったら、ここは野球やソフトボール側も知恵を使って、欧州圏の競技の正式種目化への協力とバーターで野球とソフトボールの復帰を働きかければいいんじゃないの、と素人目には思うけどどうだろう。


それには、少なくとも影響力も声も大きいが、野球のためなら他の種目を貶める星野仙一などを表に出すのは、明らかに損失だと思うけど。