J1第28節 川崎 vs 横浜FM 2-0 (等々力)

前回の対戦で完敗を喫した横浜FMに対して、2-0と結果的には振り切ったものの内容にそれほどの差はなかった。
試合を通して敏捷性に勝り、ボールが良く回っていたのは横浜FMペナルティエリアまでは持ち込むが、そこからフィニッシュまで持ち込む力強さはなく、ゴール前の川崎の守備の抵抗を崩せなかった。

川崎も連戦でヘロヘロの身体に鞭を打ち、横浜FMの高いライン裏にジュニーニョを走らせるシンプルだけど効率的なカウンターで対抗するが、数々の決定機も枠を外す。

お互いの攻撃が単一的になった後半にようやく試合が動く。74分にゴール前の混戦から谷口が頭一つ抜け出し、ヘディングで先制。84分にはなぜか右サイドを超フリー状態だったレナチーニョが難なく追加点を決め、ACLでの嫌な敗北を少しだけ拭い去る形で勝ち点3を追加した。

木村采配の不可思議

0-1となった時に、横浜は采配にて攻撃の選手を投入することでリスクを犯すべきだった。
前述の通り、この日ボールは回せていたし、コンディションでも川崎の選手を上回る出足でボールを掠め取ることができていた。
あとはいかにフィニッシュまで持っていくか。空中戦でもシュートの制度でも良いから、さらに攻撃の選手を投入すべきだった。
しかし結局、長谷川⇒兵藤、坂田⇒山瀬と同じポジションの選手の交代を行ったことで、何も変化は起こらない。もともとあまり積極的な采配ができない監督ではあるけれど、もったいなかった。

渡邊千真をどう育てるか。

資金難、俊輔獲得の失敗、フロントと指揮官の迷走、と現在の横浜FMの陣容は、結果的に予期せぬ結果の積み上がりからなっているが、それでもルーキーの渡邊千真に1年通して実戦経験を積ませることができたという点は、大きなプラスだった。このまま順調に経験を積めさえすれば、日本を代表するストライカーに間違いなくなるだろう。

ターンオーバーは難しい。

事情により後半しか見られなかったが、先日のACL名古屋戦の川崎の選手の疲労による動きの悪さは、常軌を逸していた。結果論を見れば、早めに交代策を打てば、あの名古屋戦の結果はなかったかもしれない。
しかし、川崎の試合をシーズン通してみると、信頼感という意味では、あの11名なのだ。確かにバテバテだったしブラウン管からも疲労感が伝わるほどだったが、それでもあの11人なら最後には形勢をひっくり返せるのではないか、という信頼感と期待感があった。だから、名古屋戦に負けて、悔しかったし、やはりフレッシュな選手を投入すべきだったのかな、と頭によぎったが、思ったよりも早くACLの敗戦から頭を切り替えることができた。
この日、名古屋戦と変わらぬメンバーが先発を連ねたのを見て、やはりサポーターと同じように関塚監督のこの11名に対する信頼は揺るぎないのだと思った。
監督とすれば、もちろんシーズン終了までを見据え、あらゆる状況を考慮して、メンバー選択についてもあらゆるオプションを考えなければならないと思う。しかし、一方で、今のメンバーで固定して辛抱強く闘うというのも、短期決戦での結束力を高めるためには、疲労のリスクもあるが一つの策ではある。
ターンオーバーって本当に難しい。