J1 第2節 浦和 vs FC東京 (埼玉)

ここ数年両者の対決は浦和が東京に勝ち続けてきているのだが、今週の前評判では東京有利の評だった。昨季のメンバーをベースに、新潟からMF松下、大分からDF森重とチームの柱となるプレイヤーを完全移籍でそつなく獲得、また外国人ではブラジルU21経験のあるFWリカルジーニョを獲得し、今後の攻撃のオプションに厚みを持たせた。
先週の横浜FM戦もロスタイムの得点であったものの1-0で突き放し、幸先の良いスタートを切っている。


一方の浦和は、例年通りシーズンオフは派手に動いた。これまで攻守の要でありながら、自身の規律に問題があり、クラブと衝突を繰り返した闘莉王を名古屋に放出。これでクラブがひとまずフィンケ監督に信任を置いた形となり、昨季からの路線を引き続き継続することとなった。
ドイツのブンデスリーガから2選手が加入。ケルンからブルキナファソ代表のMFサヌー、ニュルンベルグからDFスピラノビッチがチームに加わった。本来の能力からみれば、共にJリーグでも有数の能力の持ち主であり有望な若手なのだが、怪我持ちでもある。キャンプ中も順調にはいかなかったようでこれまで共に試合には出場できていない。この第2節ではようやくスピラノビッチがベンチに入った。
何よりのビッグニュースは広島からMF柏木が加入したことだろう。メンバーが揃えば、ポンテ、柏木、梅崎、原口、山田直輝、阿部、鈴木啓太、細貝、エスクデロとサヌから中盤を組めるようになるわけで、怪我人の問題をクリアできれば、やはり圧倒的な戦力層を持つ。
しかし先週の開幕節、鹿島戦は0-2の完敗。まだチーム全体の試行錯誤の段階は続いているようだ。


試合序盤は徳永、羽生、中村北斗、松下と機動力に優れた中盤を並べた東京のペース。両サイドバックの椋原、長友が上下動を繰り返しては積極的にゲームメイクに絡んでくる東京のワイドな攻撃に、浦和の守備は後手を踏む。東京はこの試合序盤に点を取れなかったのが響いた。落ち着きのなかった浦和の守備を押し切るまでの力はなかった。


浦和と東京はサポーター同士に強いライバル意識があるが、それは選手も同様。前半から気迫のこもった激しいフィジカルコンタクトが続いた。そういう雰囲気の中で気をつけなければならなかったのが、カードコレクターの傾向がある東京のCB森重。森重は19分にPA内で宇賀神を倒してPKを献上し、39分に2枚目の警告で退場処分を受けた。試合開始から相手に激しい寄せを繰り返していた森重のプレーはアウェーの大観衆の中では、審判の格好のターゲットとなった。本人も周囲ももっと先を読んで、大人のプレーをすべきだった。

ポンテが落ち着いてPKを決め、浦和が先制。一人多い浦和がホームの利で一気に突き放すかと思えたが、結局追加点は奪えず、1-0で浦和が勝利した。


浦和はまだまだチームつくりの道半ばといった印象。FWにエジミウソン、中盤に柏木と阿部、DFに坪井と核となる選手がいるのだが、チーム全体をコントロールできる選手がいない感じだ。もちろんポンテは組み立ての部分で光る部分を相変わらず見せるのだが、全盛期と比べてしまうとどうしても迫力は欠ける。柏木、梅崎、山田直輝と器用な選手は多いのだけれど、もう一皮精神的にも技術的にも剥けないと、チーム全体が流動的にならないのかもしれない。


FC東京はこの日も浦和に勝てなかった。PKを与えた場面はちょうど僕の席から目の前だったけど、正直五分五分の競り合いに見えたけれども、上に書いたとおり、東京のゲームコントロールの拙さを感じた。
一人少なくなった後の城福監督の攻撃的な交代策も的確だっただけに打てる手は全部打っただけに、あとは何が足りないのかと言うと答えが詰まる。
今のサッカーの方向性は悪くない。あとは結果を出すことだけ。
まあそれが一番難しいのだけれど。


MOM 坪井慶介