J2第9節 横浜FCvs大分 (ニッパツ)

J2単独開催の今日はニッパツ三ツ沢球技場へ行ってきました。
開幕3連勝から一転5連敗とチームが安定しない横浜FCと韓国代表MFキム・ボギュンがどうやらハンパないパフォーマンスを見せているらしい大分トリニータの対戦。

サガン鳥栖からやってきた岸野"赤帽"靖之監督の熱血キャラクターは、サッカーだけにはとどまらずスタジアムの空気までも変えたようだ。試合前からスタジアムDJが絶叫しながらスタンドのサポーターを煽る。どうやら『負けたらあかん!』がクラブのコンセプトになったらしい。これまでハイソでちょっぴりキザだった横浜FCのカラーはすっかり岸野監督の暑苦しさに塗り替えられた。

しかし、サッカーのプレースタイルも岸野監督のキャラの如く精神論やフィジカルの激しさを求めるかといえば、必ずしもそうではない。むしろ細かなディテールの積み重ねを選手に要求することで、チーム11人の総和以上の力を引き出そうとする指導スタイルだ。私感だけど岸野監督がインタビューで話しているのは意図的にサポーター向けにキャラを演じている部分もあると思う。

横浜FCは岸野監督との契約も含めて、シーズン前にJ1昇格を想定した積極的な補強に動いた。
下記が横浜FCがシーズン前に獲得した主な選手

FW サーレス ベガルタ仙台
FW エデル  インテルナシオナル
FW 大黒将志 東京ヴェルディ 
FW 久木野聡 川崎フロンターレ
MF 高地系治 サガン鳥栖
MF 武岡優斗 サガン鳥栖
MF 寺田紳一 ガンバ大阪
MF シルビーニョ ロンドリーナFC
DF 柳沢将之 サガン鳥栖
DF 渡邉将基 サガン鳥栖
DF 金裕晋  釜山アイパーク
GK シュナイダー潤之介 ガイナーレ鳥取

岸野監督とともにサガン鳥栖から移籍した4選手に加えて、新潟、仙台でゲームメーカーとして活躍したシルビーニョガンバ大阪から若手の有望株の寺田、そして東京Vから大黒を獲得した。特に大黒とシルビーニョの獲得は大きい。大黒のライン裏への飛び出しとシュート能力、シルビーニョの試合を支配するボールの差配能力はJ2では圧倒的だ。長いシーズンの中でこの二人の能力で勝ち点を積み重ねる場面も多いと思う。

決勝点も大黒のストライカーとしての能力が光った場面だった。前がかりになった相手から横浜FCがボールを奪ったところで、バランスを崩した最終ラインのギャップを突いて飛び出し、相手ゴールキーパーとの1vs1を難なく決めた。これぞ大黒とも言うべき素晴らしいゴールだった。

しかし目標のJ1昇格に向けて横浜FCが盤石の試合内容だったかというと、まだまだチームとしての熟成度は低い。試合をハンドリングできておらず、終始落ち着かない展開だった。
上記の新戦力がチームにフィットして、岸野監督が目指すサッカーにたどりつくにはまだ時間がかかる。それまでは内容に満足できなくとも最低限の結果を出すことで、勝ち点を積み上げて終盤に向けて好ポジションをキープするしかない。


大分は話題のキム・ボギョンに期待していたが、この日はイマイチの出来だった。確かに足元の使い方は柔らかく、テクニックはあるのだろう。シーズンが3分の1を終了して、各チームともキム・ボギョンを封じ込めることを念頭に大分対策をだいぶ練ってきているはず。そこからさらに対策を突破できるようであれば、大したものなのだろうが。


それにしても大黒将志も菊池直哉も、本来ならば6月に南アフリカに行けてもおかしくない才能の持ち主だ。
二人とも人生のボタンを掛け外してしまった。
J2においても才能は錆びておらず、サッカーに真摯に打ち込んでいるだけに本当にもったいない。